2021年のテーマ


 2019年後半に発生したとされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は全世界で猛威をふるい、感染拡大による経済・社会活動の停滞により世界経済は大きな打撃を受け、国際通貨基金(IMF)では2020年から21年にかけての経済損失が約1,300兆円と試算するなど先進国を中心とした「歴史的落ち込み」が深刻化しており、感染の収束はもちろんのこと、収束の目途が立たない状況での経済回復が各国政府の最重要課題となっている。
 また、世界的に見て感染者数が少ない日本でも商慣習や秩序の変化によって企業環境は大きく変わり始め、多くの企業が業績回復を目指して効率化を進めている一方で雇用環境が悪化するなど日本経済も向こう数年は深刻な状況が続くと見られている。
 11月に迫った米国大統領選挙で再選を目論むトランプ大統領は、国内経済の急激な後退の原因である新型コロナウイルス感染症拡大の防止に向けた危機対応や対中外交などを巡り、民主党候補と舌戦を展開するもこれまでの対策の不手際を厳しく指摘されており、8月に入り雇用情勢が改善の兆しを見せるなど自身の成果を強調してはいるものの、「貧富の差が拡大している」などと評価され、劣勢を強いられている。
 また、「法と秩序」を公約に掲げ、激戦州を頻繁に訪れて直接支援者に訴えを続けているものの人種差別と長引く警察の暴力への抗議活動、都市部での治安悪化などによって支持者が離れ始め、世論調査でも依然として対立候補にリードを許すなど厳しい状況に置かれており、前回の選挙でも勝利の鍵となった都市郊外の、とりわけ女性有権者層の動向が注目されるなど、世界各国はもとより日本の社会と経済に大きな影響を与える米国大統領選挙も佳境を迎えている。
 国内では、在任期間歴代最長を記録しながら悲願の憲法改正とオリンピック開催を前に体調不良を理由として辞任した安倍首相に代わり、9月16日の衆参本会議で第99代首相に選出された菅氏は、就任会見でこれまでの「アベノミクスの成果」として株価の上昇や雇用の拡大を高らかに謳い、「引き続き、安倍政権の政策を推進する」と表明したものの、実態は年金の減額と介護保険の負担増、消費増税に加え、第二次安倍政権発足からの約8年で350万人増加したといわれる低所得の非正規雇用者など大企業優先の政策が現下のコロナ禍で多くの失業者を生むことに繋がると同時に、その成果は実感できず、結果として国民生活の格差は拡大しているといわざるを得ない。
 また、「縦割り行政」や「既得権益」などの改革を謳うも“新たな社会の実体”を示すことは無く、政治家でありながら「公助」より「自助」を優先する個人主義的な思考と、「自らの使命」と謳う安倍政権の継承者として実現できなかった“成長戦略”を柱とする大企業優遇の「規制緩和」へと突き進み、“自己責任社会”へ加速すると見られており、今後も国民への負担と疲弊は続くと見られている。
 さらに新政権発足当初の高い“ご祝儀支持率”を背景に「国民のために働く」とした一方で、安倍・菅時代に強行してきた官僚支配やメディア管理の強化に加え、「コロナ関連財政支出の回収」となる消費税や所得税の増税も視野に入れるなど、「コロナ対策が落ち着く」と睨む来年年明けの解散総選挙を仄めかしているものの、今後の舵取り如何で日本の未来が大きく左右されかねないなか、派閥均衡型の人事で安倍政権時代の疑惑と内政、激化する米中対立の狭間での外交や最優先のコロナ対策など、山積する課題・難題を前にその政治手腕が問われる状況となっている。
 これまでの感染症拡大によって経済と企業活動が縮小せざるを得なくなり、社会全体において企業の収益確保と雇用の維持が困難な状況となるなか、国際自動車は創業以来の苦難に見舞われながらも「社員第一主義」実践のため、様々な改革と施策を展開しているが、感染防止対策による大企業をはじめとした社員の移動制限や飲食店等の深夜営業自粛などによって現業3部門の全てで予測を超えた減収が続くなど、我々が従事するハイタク・バス産業は極めて大きな打撃を受ける業種の一つとなっている。
 また、高齢化と人口減少によって公共交通機関としての重要性が今後益々高まるものの、生活様式の変化や技術革新による“日本総デジタル化”の加速によって各企業の経費負担が大きくなるなどこの業界の収益構造は急激に変化しており、今後はこれまでのような「業界内だけの議論」ではなく、行政・自治体・利用者と共に変化に応じた“構造改革”を早急に進めなければならない状況となっている。
 国際労働組合は、現下の状況が組合活動にも大きな影響を及ぼしているものの、改めて労働組合の本源が「生活の安定と向上」という原点に立ち、今後の社会や人々の価値観がどのように変化しようとも、交通産業に携わる我々が「社会を支える我々にしかできない仕事」というエッセンシャル・ワーカーとしての誇りを持ち続け、高い技能と見識による高付加価値な労働力と柔軟な視点で“kmブランド”と“職場を守る力”を維持するため、組織の結束力をより強固なものにしていかなければならない。
 したがって、国際労働組合5,800名を超えるすべての組合員が2021アクションプランの目指すものを共有し、“kmブランド”と歩む「確かな未来」に向けた活発な議論を願い、ここに提案する。