2020年のテーマ


 平成から令和へと元号が変わった2019年も世界共通且つ喫緊の課題である「地球温暖化」が原因とみられる異常気象が世界各国で発生し、多くの人命や財産を奪い地域経済にも大きな影響を及ぼしている。
 米国トランプ大統領は、2020年11月の次期大統領選挙の再選を目指して自国第一主義を貫く姿勢を一層鮮明にしており、自国経済は金融緩和など財政政策と好調な個人消費から内需中心に安定を見せているものの、新興国の経済成長回復に依存する世界経済の先行き不安や自国の景気も伸び悩みが見え始めており、とりわけ中国との貿易摩擦は関税応酬が激化の一途を辿るなど、今後の世界経済への影響は計り知れないものとなっている。
 また、前政権の政策をすべて否定し、大きく政策転換したことで国際社会と世界経済の秩序としての役割を担っていたはずのG7サミットにおいても、「地球温暖化対策」や「保護主義に対する反対」など他の参加国とことごとく意見の相違を見せる米国トランプ大統領の存在が、サミットそのものを形骸化しかねない状況となっており、とりわけ世界経済への影響が甚大となる中東情勢においては、アラブ諸国の覇権争いや民族・宗教、石油関連など、問題が複雑に絡み合う中で昨年のイラン核合意からの離脱とその後の厳しい経済制裁など、混迷に拍車をかける形となっている。
 日本経済は、最も影響を受ける好調な米国経済の恩恵から株価も高い水準で推移し、企業業績の好調と雇用・所得環境の改善などから企業の設備投資と個人消費が伸び、内需が下支えする状況となっているものの、依然として世界経済は低迷しており、10月の消費税率引き上げ後の軽減税率導入や教育・保育の無償化などの政策が持続しなければこれまでの景気が減速する恐れがあると懸念されている。
 一方で派閥の長を重要ポストに据え、更なる安定政権を目論む第4次安倍・第2次改造内閣は、悲願である憲法改正を見据えて様々な策を弄しているものの国家行事や世界規模イベントを隠れ蓑とする政治手腕と実感のない経済政策、韓国との外交面での緊張化は国内経済にも影響を及ぼし始めている。
 また、「成長と分配の好循環」を謳い成長戦略の柱の一つともなっている「働き方改革関連法」の施行と共に「最低賃金の引上げ」が3年連続で約3%となったものの、政府が打ち出す政策や発信する経済情勢とは実態がかけ離れた厳しい経営環境の中小企業を中心に今後の政策に対する危機感は依然根強く、国内政治は不安定要素を抱えたまま総裁4選を目論む安倍首相の政治手腕が一層問われる状況となっている。
 我々の従事する旅客自動車産業の現況は、AI活用による自動運転技術の発展、政府が推し進めるキャッシュレス化、労働力確保対策、労働法制の厳格化など、事業そのものを所管する国土交通省のみでは、もはや諸施策の決定権や権限の所在がはっきりしないほど打ち出される政策が複雑かつ巧妙になっており、事業者団体並びに各事業者にとってはこれまでの業界ルールや商慣習が通じなくなるような大変厳しい環境と言わざるを得ず、産業存続の危機と言っても過言ではない。
 特にタクシー事業においては、10月の消費税率改定に伴う運賃改定と併せて申請された全国48の運賃ブロックによる通常の運賃改定が「改正タクシー特措法」による手順通りに進められたにもかかわらず、複数の省庁による“横やり”によって先送りされるという前代未聞の事態が発生するなど、これまでの“ライドシェア導入反対運動”によって他産業の流入を食い止めていた業界労使に対する“意趣返し”ではないかとさえ捉えられる状況は、公共料金であるタクシー運賃を決定する中央省庁の一つ、国土交通省の権能を形骸化させるほどの不条理ともいえ、旅客自動車産業の将来に大きな影を落とす事象となった。
 国際グループは、業界を代表する企業としての社会的責任の達成とこの業界の発展や労働環境向上に向けた施策を“先駆者”として様々展開しているものの、急速な技術革新と企業負担が増す新たな政策などによって収益構造の変化やこれまでの常識や秩序、事業形態をも変えていかざるを得ないような状況となっており、今後も厳しい経営環境が続くと見られる。
国際労働組合は、労働者の生活の本源である労働諸条件の維持・向上に向け、社会と業界の流れに叶う会社施策に協力を続けているものの、不安定な業界の未来に向け、業界を代表する労働組合として我々の労働環境向上はもとより、この産業に働く労働者の新たな価値や喜びを構築していかなければならない。
 また、こうした取り組みの原動力は全組合員の強固な意志と団結に他ならず、創業100年を迎える「kmブランド」の矜持と共に“自ら”が変化することのできる柔軟性が求められている。
 したがって、業界最大の単組としての責任と優位性を保持しつつ、歴史への感謝と共に「高付加価値の労働力集団」として高い技能と倫理観を維持し、社会に認められる産業として自らの職場を守るため、国際労働組合5,800名を超えるすべての組合員が2020アクションプランの目指すものを共有し、組合員が共生する夢と希望ある明日へ向けた活発な議論を願い、ここに提案する。