2022年のテーマ


 今なお“変異”を繰り返し、拡大し続ける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は全世界で秩序や常識をも覆すほど経済・社会活動に大きな打撃を与え続けている。
 発生状況も世界では累計感染者数が約2億2,000万人、死亡者数が460万人を超え、日本国内では累計感染者数160万人、死亡者数1万7,000人をそれぞれ超える事態となっており、各国でワクチン接種と経済復興へ向けた取り組みが進んではいるものの変異株の対応や先進国と途上国の「ワクチン格差」など社会・経済のみならず道徳的問題にまで発展している新型コロナウイルス感染症を巡る様々な影響は世界的に拡がり続けており、不安定な状況は今しばらく続くと見られている。
 日本国内においても度重なる「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」の繰り返しや延長によって経済の停滞と行動制限が続いており、“待望”と言われたワクチン接種が医療従事者を優先に2月17日から始まったものの、現時点での2回接種完了は6,500万人と当初の計画から遅れが生じており、感染力の強い変異株の上陸と併せ、全国で医療体制の緊張感が解消されず収束すら見えない状況に我々国民の不安と疲弊が続き、国民感情も後がないところまで追い詰められている。
 とりわけ我々が従事する旅客自動車産業は、予測を遥かに超えて長引く感染症拡大の影響から行動制限による人流抑制によって業界全体でも業績は悪化の一途を辿り、2020東京オリンピック・パラリンピックが1年遅れで開催されたものの規模縮小と関連行事の中止、無観客によって多くの企業が需要増を見越した先行投資を回収できないほど疲弊し、全国では多くの廃業・倒産や事業の縮小化など産業そのものが打撃を受けるとともにその先の大きな転換を迫られる状況となっている。
 国内経済も年明けから株価が順調に推移するなど、緩やかながらも「景気回復傾向」と見られていたが賃金水準の伸び悩みに加え、個人消費の停滞など国民生活の回復には至っておらず、同時に雇用関係でも大きな影響を受けており、正規・非正規の格差問題ではパート・アルバイトを中心に休業手当を受け取れない“失業予備軍”が増大するなど景気の回復に大きな影を落としている。
 この先、感染症拡大がさらに長期化すれば失業率の増大による雇用環境の更なる悪化は避けられず、景気回復に向けては企業の持続性を維持しつつ、適切な賃金政策によって広がる所得格差を緩和し、国民の生活を保護する政策が必要不可欠な状況となっている。
 国内政治では、10月の衆議院任期満了を前に「総選挙を占う」とまで言われた8月の横浜市長選挙が、菅首相の地盤でもあり「全面支援」を買って出た現職閣僚が辞任して立候補をしたものの、争点となった統合型リゾート(IR)誘致の是非や現政権の新型コロナウイルス対策への批判を鮮明にした対立候補に選挙前の「楽勝ムード」を覆され、大差で敗れる結果となるなど統一候補を立てられなかった混乱が浮き彫りとなり、政府・自民党に大きな衝撃を与える結果となった。さらに9月末の自民党総裁選挙は現職である菅首相が「コロナ対策との両立は不可能」として立候補を断念するなど、衆議院解散や次期総裁を巡って国会と自民党は混乱を極めており、緊急事態のさなか「国会を軽視し、党内の争いに没頭する」相変わらずの“国民不在”政治に政権の支持率も大きく低下しており、野党が衆議院選挙に向けて政策共闘による統一候補擁立を目論むなど政権交代を睨んで活発に動きだしている。
 とりわけ菅首相の“退陣”を受け、衆議院任期満了に先駆けて行われることとなった「次期総裁選挙」は、「コロナ対策の継続が重要」として菅首相が河野規制改革担当大臣を“後継指名”しているものの、混沌とした社会情勢を背景に4人の立候補者による“派閥を超えた”これまでに無い戦いとなっており、当面の優先課題となるコロナ対策と経済再生はもちろん、原発を焦点としたエネルギー政策や高齢化と社会保障・公的年金制度、外交問題など課題は多岐に亘り、候補者の政策、争点も保守から改革志向まで幅広くなるなど、迫る衆議院選挙と併せ「日本の未来」にとって重要な岐路に立っていると言える。
 こうした環境のなかで国際グループは、大打撃を受ける旅客自動車運送事業を代表する企業として現在のコロナ対策に沿って企業存続と社員の生活の確保を最優先に様々な対策を講じているものの、長期化する感染症拡大は企業収益を圧迫するのみならず企業基盤にも大きな影響を及ぼしており、同時にこの産業でも加速度的に進んでいるデジタル化についても「先行投資による経営上の負担増」によって先行きに不安と課題が多いなかで引き続き業界をリードしつつ、顧客ニーズを的確に取り込んだより効果的・効率的な進化が求められており、労使が一体となった生産性向上の施策推進は必要不可欠な状況となっている。
 国際労働組合は、感染症の影響が拭えない現在の状況にあっても組合員の「生活の回復」を第一に、生活の糧となる国際グループの事業存続と企業基盤の安定を見据えた施策に対し、業界を代表する労働組合としてこれまで長きにわたり継続してきた運動の基本である「社会を支える仕事に対する誇りと高い技能・見識による高付加価値の労働力集団」を堅持していく事がこの難局を乗り越えるためには最も重要と改めて認識し、“組織の力”をより強固なものにしていかなければならない。
 したがって、国際労働組合5,800名を超えるすべての組合員が2022アクションプランの目指すものを共有し、“kmブランド”と共に「力を合わせ希望ある明日へ」向けた活発な議論を願い、ここに提案する。