2019年のテーマ


世界経済の中心となる米国は、トランプ大統領就任以降の経済政策によって国内景気は若干とは言え上向きとなっているものの、貿易・外交面での自身の自国第一主義貫徹姿勢によって軋轢や衝突を生み、世界各国で“戦争”の火種を蒔いている。
2018年6月のサミットにおいてもトランプ大統領は強硬に自論を繰り返し、経済面ではもはやサミットそのものが一枚岩でないことを痛烈に世界に知らしめ、サミットそのものの存在意義が形骸化する状況となっている。
外交面では、ウクライナ、クリミア問題と併せシリア問題で決定的となったロシアとの関係悪化は冷戦時代の緊張と変わらない状況を生み出し、また、イランへの強硬姿勢やエルサレムへの米国大使館移転など過熱する中東問題に加え、史上初となる米朝首脳会談実現の先に、中国との関係も“貿易戦争”と評される関税引き上げの応酬など、世界の至るところでこれまでの価値観や秩序を破壊し、不安定な状況を作り出している。
一方、安倍政権は国民に対して円満で強固な日米関係を訴えつつも、その実、直接的に日本の脅威となる隣国北朝鮮をめぐる対応については米国任せとならざるを得ず、外交分野において取り残される状況となっており、9月の自民党総裁選で再選を果たしたものの、今後はその外交手腕や政権としての主体性が今まで以上に厳しく問われることとなる。このようななか安倍首相の悲願となる「憲法改正」を第一に、その他“国難”と例えた少子高齢化や社会保障制度についての取り組みを強化するとの姿勢は強調したものの、総裁選において地方党員票の55%しか獲得できない状況もあり、任期3年延長とはいえ今後の党内調整の難しさや「皇位継承」という歴史的な行事を来年に控え、さらには多発する自然災害への対策、統一地方選挙、参議院選挙、消費税10%への引き上げなど、今後の政治手腕が一層問われる状況となっている。
このように国内外の見通しが不安定で厳しい状況下、とりわけ政策の柱の一つとなっている「働き方改革関連法」の成立を受け、経済界や労働者に対する圧力が増すばかりか、“お友達企業”との規制緩和促進と政策に否定的な一部マスコミを堂々と排除する露骨ともいえる言論統制は、「森友・加計問題」や実感が得られない経済政策から国民の目先を変える戦略として際立っており、納税者たる国民として正しい姿を示していかなければならない状況となっている。
我々が従事する旅客自動車産業は、加速度的な技術革新や取り巻く環境の急激な変化によって産業創設以来の大転換期を迎えているが、順応できなければ他産業の浸食によって生活の基盤となる職場の確保が困難となっていくばかりか、産業そのものが巨大資本に飲み込まれてしまう危険性を孕んでいる。
国際グループは、旅客自動車産業を代表する企業として2020年には創業100年を迎えるが、自動運転技術の急速な進歩や政策転換による新たな法律制定がこの業界の秩序や常識を否定し、国民の安全を蔑ろにする恐れが目の前に迫るなか、業界における老舗企業として、また先駆者としての責任と誇りから業界の存続と発展に向けた様々な施策を展開している。
我々、国際労働組合は労働者の生活の本源である労働諸条件の維持・向上に向け、会社施策への協力に積極的に取り組んでいるものの、業界を取り巻く不安定な状況には組合員の理解と結束は絶対不可欠となっていることから、改めて国際自動車の100年を振り返り、歴史を紡いできた先人達への感謝とともに「守るべきもの」と「変わるべきこと」を確実に捉え、全組合員の強固な意志と団結を以て進まなければ我々が目指す新しい時代の扉は開かない。
旅客自動車産業最大の単組としての責任と優位性を認識しつつ、国際グループが「旅客自動車産業から総合移動サービス産業へ」と転換を図るなかで、組合員一人ひとりの高い技能と倫理観、なにより「kmブランド」を背負う我々組合員の“矜持”こそがこの産業が生き残るための指針であり、社会に認められ我々自身の職場を守る唯一のものであることを自覚し、国際労働組合5,700人を超える全ての組合員が2019アクションプランの目指すものを共有し、組合員が共生する新たな時代に向けた活発なる議論を願い、ここに提案する。