北里中央執行委員長より2023年新春のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。

発生から約3年が経過した新型コロナウイルス感染症は、未だに多くの感染者を出していますが、重症化と死亡者数の低下によって各国では社会経済活動を再開させており、引き続きの感染防止対策と併せ、治療薬の認可によって一気に「収束」に近づくのではないかと考えられています。しかしながら、この間も感染された皆様には改めてお見舞いを申し上げ、また現在罹患されている方々については一日も早い回復を願うばかりです。

さて、異例ともいえる3期目の任期を迎え、より権力を集中させた中国・習近平国家主席は昨年11月に「台湾問題」を挟み、米国・バイデン大統領と初めてとなる対面での会談をおこないましたが、会談では改めて「新型大国関係」を強調し、「中国と米国で世界を分けて支配する」という考えとともにハッキリと「台湾問題が中国内政の問題」であり、その口出しに対して強くけん制する態度を示しました。一方でバイデン大統領は、「台湾海峡の不安定化」を問題視し、「平和と安定を破壊する行為」に反対の立場を表明しましたが、一部の報道ではバイデン大統領が「台湾独立も支持しない、中国とも衝突するつもりはない」と内政化を認めるような発言があったことや、この会談を境に「中国がすぐに台湾に進行する意図はない」との見方も出てきているなどその正否ははっきりとはしていません。

他にも我々の生活に直結しているだけでなく世界各国に多大な影響を与え続けている「ウクライナ侵攻」によるエネルギー問題等が未だ解消されてはいませんが、世界情勢のなかでもとりわけこの「台湾問題」は言うまでもなく我が国と隣接する地域での問題でもあり、こうした点でも最大限の警戒と注視が必要となっています。

国内では、就任二年目となる岸田政権が“想定を超えて長引く”コロナ感染症の影響から国内経済の回復が進まず、昨年閣議決定した「骨太の方針」においても就任当初から変わらない「新しい資本主義」の考えを継続させているものの、「成長と分配」の“分配”に比重を置いていた結果、国内における「成長」が高まらず、経済活動は少しずつ回復に向かってはおりますが残念ながら期待される「好循環」には至っていないのが現実となっています。

また国民の関心が薄いと言われる“出生率”の低下は深刻であり、地方経済の活性化による人口移動や賃金上昇を含めた国民生活の環境改善によって出生率向上を目指す政策の重要性が非常に増しています。同時に人口減少による外国人労働者受け入れやインバウンド戦略も水際対策の緩和と併せ、再始動しなければならず潜在経済力の向上に繋がる最重要かつ喫緊の課題と言えます。ここまでの政策では一見、“分配”が優先されているようにも映っていますが個人消費の高まりも急激な物価高に追い付かない状況が続いており、一過性で終わる恐れがありますので、はっきりと経済が“成長”しない限り持続的な「循環」による「賃金上昇」と言う分配への道も続かないこととなりますので、やはり企業の成長と賃金上昇を両立する実効性ある政策は必要不可欠となっており、「国民の暮らしを守る」ことこそが岸田政権に課せられた最優先課題であると考えています。

こうした中で本年は、私たちの従事する旅客自動車産業においても大変重要な年になります。

一つは、「働き方改革関連法」による改正がいよいよ実行される段階に突入しており、あらゆる産業、業界において過重労働防止を目的とした「労働時間の短縮」への転換が目の前に迫ってきています。

国際自動車内においても「新たな働き方」と「より適正な労働分配」を目指して日常的に労使による話し合いを行っておりますが、当社のようにハイヤー・タクシー・バス、そして内勤職・整備職とそれぞれ業務内容の違う職種があり、それぞれの特性に合わせる改定を行うことは非常に困難を極めております。しかしながら時代の流れ、社会の要請、誇りとゆとりのある生活を目指していくため、企業内労働組合としてしっかりと取り組んで行かなければならないと考えております。

また、社会全体が“総デジタル化”に進んで行く中、コロナ禍で「デジタル化が世界に比べ大きく遅れている」と判断した岸田政権は、改めて全ての産業でデジタル化への加速とそれを妨げる規制の緩和・改革に注力する方針を掲げており、この業界でも大きな変化・転換を余儀なくされるばかりか、企業としての「価値」が問われていく競争が一層激化することとなります。

このような不安定な社会環境の中で国際自動車は、「SONY」とともに協業する配車アプリ「S.RIDE」をはじめ、会社独自のツールである「フルクル」などを駆使し、また自社車両を媒体とした広告宣伝展開など営業力の強化によって収益の向上、企業基盤の強化とともに雇用の確保と企業の“資産”である人財の育成と労働環境向上に向け、現在も事業の効率化とともにさまざまな「事業改革」を進めています。

同時にこれらの推進にあたっては、引き続き組合活動の柱の一つである「チェック機能」を働かせながらそれらの目的と内容をしっかりと精査するとともに、今後も柔軟性と持続性ある取り組み・運動を行うため、労働組合の「結束力」とそこに繋がる「交渉力」を維持・向上させる必要がありますので様々な組合活動に際し、改めて組合員の皆さんとご家族にはご理解をいただかなければなりません。

最後になりますが、新たな2023年も国際グループ並びに国際労働組合にとっても激動の年になることは間違いありません。しかしながら、創業100年を超える事業で培った企業の信頼と56年に亘り多くの組合員の皆さんに認めていただいてきました労働組合の運動を基に、競争が激化するであろう未来のデジタル社会の中にあってもその一員として“社会から選ばれるブランド”を守りぬく覚悟で臨んで参ります。

そしてこの業界を代表する労働組合として、全組合員が社会的責任を果たす覚悟と誇りを持って「人にしかできない究極のサービス」を追求し、「高付加価値の労働力集団」としての努力を続けることが私たちの目指す労働環境の向上、社会的地位の向上に続く道であると確信し運動して参りますので引き続き、ご理解とご協力をお願いする次第です。

末筆ながら関係する全ての皆様のご健勝とご家族のご多幸を心より祈念申し上げ、新年のあいさつとさせていただきます。

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