北里中央執行委員長より2022年新春のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。

2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症は、感染者数が全世界で約2億6千万人、死亡者数も510万人を超え、日本ではワクチンの接種が急速に進み、感染者数が昨年後半から急激に減少したものの累計では170万人を超え、死亡者数も1万8千人を超えるなど国内だけを見ても経済の低迷のみならず、行動制限による社会秩序の変化などを引き起こし、また昨年末から感染を拡げている警戒レベルの高い新たな変異株への対策強化が各国で進むなど「未曽有の事態」と言える状況が未だ続いています。

昨年同様となりますが、本来であればこちらの紙面において組合員とご家族の皆さまとともに新年を祝い、ご挨拶させていただくところではありますが新型コロナウイルスの感染者数は大きく減少してきているものの、経済の回復と私たちの事業の回復には今しばらく時間を要すると見られており、改めてこれまでに罹患された皆様並びにご家族、関係者の皆さまに心よりお見舞いを申し上げるとともに、一日も早く感染症拡大前の日常に戻ることを願うばかりです。

世界中でコロナワクチンの接種や治療薬の開発が進み、各国は経済復興を目指して様々な政策に取り組んでいるものの、次々に発生する変異株の感染拡大で欧州をはじめとした多くの国々では感染再拡大による規制強化や金融市場の混乱によって直近の「世界経済見通し」でも世界全体の成長率は引き下げられるなど、回復は鈍化傾向となっています。

昨年秋に就任した自民党・岸田首相も就任前には「新自由主義からの離脱」や「分配による経済成長」など“経済回復最優先”の方針を強調していたものの、その後の不安定な世界経済の動向から軌道修正を迫られる厳しい政権スタートとなりましたが、今後は高いワクチン接種率と感染者数・死亡者数の激減を背景に、国内経済の早期立て直しを目指した経済対策と制限緩和による個人消費の回復に期待をする一方で、治療薬の普及までは感染再燃のリスクもあることから引き続き慎重な対応と対策が必要な状況となっています。

また、2年に及ぶコロナ禍での生活によって「不要な物や関係」を識別することになるなど、人々の意識や行動が大きく変化し、「人が動く時代」から「モノが動く時代」へと変わりつつある中で我々の従事する旅客自動車産業も大きな岐路に立っています。

既に社会的な流れとなっているデジタル化・ICT化は、“未来の交通社会”の覇権争いのために様々な産業で多くの大企業や大資本が莫大な投資を行い、日本各地で実証実験を行う段階まで進んでおり、我々の産業もそうした中に組み込まれていくことになります。

こうした中で国際自動車も業界を代表する企業・ブランドとして、今日まで日本を代表する企業と様々な取り組みを行って来ていますが、近未来の交通政策の枠組みの中で「選ばれるブランド」と「そうでない企業」の違いは今後一層鮮明にならざるを得ず、激化するであろう競争の中で我々もしっかりと生き残っていかなければなりません。

幸い、100年を超える信頼で培ってきた今日の「kmブランド」は日本を代表する多くの企業から“協働”の申し入れを受けて、組合員の皆さんの努力によってコロナ禍の現在においてもハイヤー・バスによる国家行事の要人送迎やワクチン接種会場の送迎、タクシーによる専用乗り場化や各種の実証実験などへの協力により、一層のブランド力強化を進めていますが、一方で我々自身が「高品質」を維持する努力を続けていかなければ“未来の交通社会”の一翼を担っていくことはできません。

この業界でも僅か10年でデジタル化・ICT化が急速に進み、企業の収益構造も大きく変化しており、こうした変化に即応できなければ取り残されて事業を存続していくことは難しい環境になっており、同時に労働法制の厳格化に伴って従事する我々の「働き方」も否応なしに変化を迫られていますので、正しい「働き方」への取り組みは労働組合として最優先の課題と認識しています。

また、こうした環境の中で国際自動車は企業の社会的責任である雇用の確保と持続的発展、企業基盤の構築のために様々な「事業改革」を進めていますが、これらの推進にあたっては内容をしっかり精査するとともに、今後も発言力や交渉力を維持するための労働組合の「結束力」は不可欠です。

コロナ感染症拡大の影響で労働組合としても“目に見える活動”が出来にくくなってはいましたが、特にこのコロナ禍という異常事態の中でも労使による協議や取り組みは様々続けてきており、また労働組合独自の取り組みについても国際労働組合設立から50数年で培った組織の“チカラ”を基に出来得る限り行って参りました。

今後も生活の糧となる雇用の維持と事業の存続に不可欠な「kmブランド」の価値向上はもちろん、業界を代表する労働組合として全組合員が社会的責任を果たす覚悟と誇りを持って「人にしかできない究極のサービス」を追求し、社会の流れに沿う柔軟性と持続性ある取り組み・運動によってブランドを掌る人財の「育成と成長」、それに続く労働環境向上に邁進して参りますので本年もより一層のご理解、ご協力をお願い申し上げますとともに、末筆ながら関係する全ての皆様のご健勝とご家族のご多幸を心より祈念申し上げ、新年のあいさつとさせていただきます。

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