北里中央執行委員長より新春のご挨拶

あけましておめでとうございます。

「自国第一主義」を貫くドナルド・トランプ大統領は2017年1月の就任以来、その支持率を低下させることなく中国・ロシアをはじめとした世界各国を相手に様々な軋轢や緊張を生んでいます。

昨年11月の中間選挙においては共和党が下院で過半数を割ったものの、上院では議席を伸ばし、知事選挙においても全米50州の過半数を維持するなど戦略通りの“想定内の結果”に終わったトランプ大統領は、中国との貿易戦争、対イラン制裁、メキシコ国境強化など支持層に訴える戦略で基盤を維持し、国内でも自身に不都合な報道を弾圧する対メディア対策や野党・民主党も好意的なインフラ整備や保護主義的通商政策などによって2020年の再選を見据えていますので米国の影響を強く受ける日本をはじめ、世界各国を取り巻く様々な環境は不安定な状況が続くと見られています。

また、日本国内を振り返りますと2018年は西日本豪雨、台風被害、北海道胆振東部地震などの自然災害によって多くの方が被害に遭われ、改めてお見舞い申し上げますとともに一日も早い復興を願っております。

一方でこれらの被災地においても鉄道・バスが運行不能となる中で、公共交通機関としてタクシーが地域の移動手段として大きく貢献したことの重要性を改めて、今も議論が続く「ライドシェア」解禁論者に問いかけたいと思います。

世界各国で先行してきた「ライドシェア」は多くの弊害を生み、多くの国で禁止または規制の対象となり始めている中で、我々が中核となる全中労(全国中立労組政策推進会議)も参画している全国の旅客自動車産業にあります8つの主要産別労働組合で行っている「国民の安心・安全を阻害する白タク合法化反対」の運動は、国土交通省、厚生労働省、経済産業省、観光庁などに対する省庁交渉をはじめ、その後も各地域で広がりを見せ、「全国のハイタク・バス労働者の生活を守る運動」として継続しています。

また、国内の一部のIT企業を中心として利益優先・安全度外視の事業展開を目論み、国へ提案を続ける「ライドシェア新法の制定」に対して、国土交通省は改めて「運行の責任を負う主体とは言えない」などとして内閣府からの検討要請に対して回答しています通り、国民の安全を度外視し、責任を持たない利益のみの新たな事業形態に対してこの業界が法令や厳しい規制の末に長い年月の中で積み上げてきた“安全・安心のプロ”としての誇りが守られている状況となっています。

しかしながら“白タク導入”は阻止できている一方でこれまで触れてきましたとおり、外国系企業のプラットフォーマー(通信等による商品・サービスの提供事業者)が国内のタクシー会社と提携し、これに対抗する国内企業のDeNAやジャパンタクシーとともにシェア拡大のための「初乗り料金無料」や「迎車料金サービス」など様々なキャンペーンを展開し、競争は激化の一途を辿っています。

一方で国際自動車は、東京地区のタクシー会社4社と日本を代表する「SONY」とともに合計約10,000台規模で「みんなのタクシー」を設立しております。これまで内外問わずプラットフォーマーがこの業界に参入してきていますが、これらと「みんなのタクシー」の違いは「タクシー会社自身がプラットフォームを創る」という点です。これまでの形態はプラットフォーム会社とタクシー会社が別々の会社として連携していますので利益もそれぞれ分配されることになりますが、「自ら立ち上げる」という点で大きな違いがあります。

内容については基本となるタクシー配車に加え、決済機能に関わる各種手数料の軽減、SONYの技術を駆使したAIの需要予測による生産性向上や事故形態分析、MaaSへの対応など今年2019年の運用開始を目指して現在進んでいますが企業やブランド同士の競争が激化する中で接客・サービスをつかさどる我々一人ひとりの質・価値も問われる時代になってきており、労働者にとっても大きな期待があるとともに「kmブランド」の更なる向上に向け、労働組合としてもしっかりと取り組んでいかなければならないと考えています。

また、昨年6月に可決成立した「働き方改革関連法」は本年4月以降、様々な見直しが始まります。主なポイントは①時間外労働の上限規制、②年次有給休暇の付与義務及び計画付与、③法定割増賃金の率引き上げ、となっています。

特に我々の業界にとっては時間外労働の上限規制こそ5年間の猶予があり、なおかつ年間960時間という特例措置が取られていますが本年4月からは年次有給休暇の付与義務が始まり、これまで有給休暇を取得しなかった労働者(=社員)に対して5日間の有給休暇付与を義務付けるもので違反すると事業者が懲役または罰金という大変大きな法改正です。

今回の改正はタクシー事業のみならずハイヤー・バス事業においても時間外労働960時間をはじめとした法令順守と労働力不足の解消に向けたコスト増が経営を圧迫するばかりで法改正による代替措置もなく、単なる労働時間の短縮だけでは労働者の収入減を解消できない状況となっています。

このように我々が従事しますハイタク・バス産業では事業の収益構造や労働者の働き方そのものが大きく変化し始める中で、国際労働組合では長きに亘り「既成概念や古い慣習に囚われない柔軟な組織」を目指しており、また“生産性と賃金の整合性”を基本とした考えのもと、これらの劇的な時代の変化に対してもしっかりと取り組んで参りますが、全組合員が磨き、育ててきた業界を代表する“kmブランド”がこれからの10年100年を目指す“新たな時代”への原動力は組合員一人一人のご理解とご協力、そして全組合員の結束に他なりません。

国際労働組合は、業界における最大規模の労働組合として、全組合員が自社のみならず旅客自動車業界においても大きな責任があるとの自覚をもって、誇りと強さと進取の気性で新たな時代へ向かっていかなければならないと考えています。

50年以上に亘り積み重ねてきた先人の知恵と労働組合が持つ機能(要求・チェック・共済)などの力を最大限に発揮し、労働者としての生活を守り、明るく、夢と希望のもてる職場を創って参ります。

本年もより一層のご理解、ご協力をお願い申し上げますとともに、末筆ながら関係する全ての皆様のご健勝とご家族のご多幸を心より祈念申し上げ、新年のあいさつとさせていただきます。

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